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野田佳彦『民主の敵』
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    JUGEMテーマ:読書
     8月29日の民主党代表選挙で政経塾1期生の野田佳彦先輩が代表に選出され、すぐにこの本を求め、本日読了した。通勤の電車内で折を見て読んできたので、実際は非常に読みやすく、野田先輩の思うところを率直にまとめられた本なのだが、読了まで大分日数がかかってしまった。
     特に印象深いのは、政経塾の選考の際の松下幸之助塾主とのやり取りと、県会議員初当選以来の駅頭演説を中心とする政治活動の様子である。ひたむきに活動されてきた様子が伝わり、実直なお人柄を証明しているとも言える。
     一方で、政権交代を政治課題の第一義に置かれている点や、二世批判などはやや違和感を感じ、また官僚批判については、現在かなり考え方が異なっているのではと思わせる記述もある(本書は野田先輩が野党時代の2009年7月に上梓したものであるが)。
     また、2004年北京での中国の唐カセン国務委員とのやりとりは、その場(釣魚台)に私もいたので鮮明に当時の記憶が蘇ってきた。ちなみにこのときに通訳をした韓志強氏は、私が塾生時代に政経塾に出向されていたのでよく存じ上げていたが、今回の野田内閣誕生を機に、在日本中国大使館の公使として日本に赴任されている。この中国外交の戦略性は学ぶべきものがある。
     ともあれ、野田総理の唯一の著書であるこの本は、政治に関心の向きは必読の書である。 
     
    posted by: kuro | Tの書斎 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    政経研究所国策研究会『私たちはどのような国をめざすのか』
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      JUGEMテーマ:読書

       9月8日の産経朝刊1面に「どじょう宰相・野田佳彦の実像」と題したコラムが掲載され、そこにこの本が紹介された。国策研究会の座長としてこの本を取りまとめたのが野田首相だったからだ。特にこの頃(平成18年春に研究会立ち上げ)の野田氏は、偽メール事件の責任をとり国対委員長を辞任した直後で、改めて確固たる国家理念を打ちたてようともがいていたのだ。従って、この本の内容や表現も、野田氏個人の思想信条がストレートに表現されている。特に彼が担当した第1章は、東京裁判史観を真っ向から否定し、保守政治家そのものであった。産経は、首相になって変容したと批判していたが、私はそうは思っていない。逆に、一国の首相の立場に立ちながら、現実の問題を省みずに突っ走るほうが国を危うくすると思うのだ。
       さて、この本は平成21年3月に約千部発行された非買品である。政経塾に聞いたところ、この記事以降問合せが殺到したが、既に在庫がないらしい。私の手元にあるこの本も、マスコミの知人から貸し出しの依頼を受けた。しかし、東京裁判の解釈や神話以来の日本の歴史観が中心で、一般の方が読んで面白い代物ではない。野田氏の思想信条の根っこの証明としての価値として評価すべきであろう。
      posted by: kuro | Tの書斎 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
      内田樹『日本辺境論』
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        JUGEMテーマ:読書
         ものすごいペースで執筆を続ける著者の本を初めて読んだ。著者の発想はとてもユニークで面白く、思考も論理的で鋭いものがある。高校生の時に感動してはまった岸田秀の趣がある。
         この『日本辺境論』という題目が、持論の「環都論」を想起させ、思わず手にとったのが読み始めたきっかけだ。この本の主題を一言で言えば、日本人は辺境人であり、世界標準の制定力はなく、外部に世界標準を求めて常にきょろきょろしている」ということである。一見、情けない話に聞こえるが、この民族性こそが日本人の特長であり、日本の発展の礎なのだと納得する。日本人のこの思考パタンの根っこを規定している日本語のもつ特異性(表意文字と表音文字の併用)についての考察も面白かった。日本語は脳の2か所の部位を使うユニークな言語であることが実証されているというのは興味深い。辺境人の学びについての武士道や張良の逸話も納得がいく。
         読みながら、TPP問題を考える上でのヒントになると思いつつ、娘の大学入試の現代文の問題に取り上げられそうだなあと思ってしまうのは親バカか。
        posted by: kuro | Tの書斎 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        寺島実郎『世界を知る力〜日本創生論』
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          JUGEMテーマ:読書
            三井物産戦略研究所の後輩より本書を送付しただき、本日読了した。書評を求められていたので、分を弁えずに率直な感想を送らせてもらった。
           著者の寺島実郎氏の講演は、半年に1度の頻度で、月刊BOSSを発行している経営塾さんのフォーラムでうかがわせていただいており、この5月にもお話を拝聴したところであった。
           そのとき話された今回の地震についてと歴史認識の重要性および親鸞の話は、この本の第1&2章に書かれていた。第3章は関東大震災とのアナロジーについて。短命政権が続いていたことや、財政赤字、経済の混乱が当時と似ていたことから、21世紀研究所の政治プロジェクトでも議論をしたところである。第4章の復興構想について、財源案としての無利子国債の提案には賛意を表したい。一方、副首都機能を那須へというのはどうであろうか?日本列島全体が地震の巣である以上、防衛上の面からも適度に分散させるしか手がないのではないかと考える(参考:環都論)。第5章のエネルギー問題についても、寺島氏の現実的な意見に賛成する。唯一の被爆国として、核をとことん平和利用していくための技術を高めていくことが、日本の世界に対する貢献につながると思う。一部の硬直化した体制は正すべきだが、営々と築いてきた原子力技術を雲散霧消させるべきではない。
           それにつけても、親鸞の絶対他力の意味するところが、浅学な私にははっきりとはわからない。この震災とこの本でなんとなくは感じるのであるが。。。機会を見て学んでみたいと思います。
          posted by: kuro | Tの書斎 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          郷仙太郎『小説・後藤新平』
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            JUGEMテーマ:読書
             震災以来、なにかと引き合いに出される後藤新平。正直言ってよく知らなかったので2日間で一気に読んでみた。作者の実名は青山やすし氏。元東京副知事で都市計画に詳しい都のプロパーである。書かれたのは1997年で副知事就任前であるから、激務をこなしながらの執筆活動であろうから、そのパワーに驚かされる。ちょうどその頃、公約の一つに『環都論』というのを上げていて、都市計画について調べているうちに、都の都市計画について青山氏のレクチャーを受ける機会があったことを覚えている。
             まさに奇縁であるが、氏が名東京市長であり、都市計画の生みの親といってもよい後藤を書きたかった理由はよく理解できた。
             この本を読んでみて今後藤から学ぶべきは、単に震災復興に留まらない。私がむしろ感銘を受けたのは政党との距離感である。国家百年の計を考えずに党利党略ばかりを追い求め、短命政権が繰り返されていた様は、今日とまったく変わりがない。後藤没後、昭和恐慌から軍部の台頭、第二次世界大戦へと突き進んだことを考えると、後藤のように純粋に国益のことを考え、公務に邁進する人物が政界、官界、財界それぞれに必要である。今、政党政治の研究プロジェクトを慶應の曽根先生と進めているが、やはりこの目線で政治を考えなければいけないと改めて思わされた一冊であった。
            posted by: kuro | Tの書斎 | 23:11 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |